フィンランドでは、ラミネート材が主流
クーサモ近郊で建築中のログハウスの学校を見学した。ここは、体育館を含め3棟の大きなログハウスが並ぶフィンランド最大の公共施設となる。ログシェルは、8層の集成ラミネート材、ノッチは、ダブテイルだ。これには、「子供の安全」というちゃんとした理由があった。細かいラミネート材にすることで、ログシェルの表面は割れにくくなり、皮膚が柔らかい子供たちが触れてもけがをすることがない。そして、すっきりしたダブテイルのノッチは、外を元気に走り回る子供たちに安全なのだ。
ログハウス=丸太小屋という考えでみると、プレーン材に比べて、ラミネート材は、細かくなればなるほど集成感が強くなり、魅力を感じないという意見もあるようだが、フィンランドでは、細かいラミネート材は、プレーン材と同等の強度を持ち、しかも安全でエコな材料として、ログハウスの主流になっているのだ。
進化するマシンカットログハウスMUKIKA203
夢木香の新しいマシンカットログシェルMUKIKA203の原板が作られる工場へ。
ここでMUKIKA203の3層ラミネート材が作られている。
前述の8層ラミネートほどではないが、3層構造は、プレーン材や2層構造に比べ、やはり、表面がきれいなのが特徴。ここでは、高さ203ミリのオリジナルログ材について、良材の安定的な供給を確認した。
ここから日本に輸出されるMUKIKA203の原板は、日本国内で加工され在庫している。契約後にフィンランドに発注する場合、現地加工し船で輸入する4か月もの期間を短縮するため、夢木香は、ログ材を日本国内に常備しているのだ。
幻の銀色のログハウス
森の中に立ったままの状態で立ち枯れ枝葉が落ちた後も腐らず数百年もの間立ち続けた「幻の立ち枯材」といわれる希少な材、シルバーパイン。
長時間厳しい自然環境にさらされたこの木は、非常に堅強な材となるため、セトリングもしにくく、皮が自然にはがれた表面は塗装が不要。フィンランドでは、シルバーパインのログハウスが多く見られる。
ラミネート材と対局にある銀色のログハウスは、新しいものに挑戦しながらも、常に伝統を重んじるフィンランド人の気質を象徴している。
「川上から川下まで」
一流の和食料理人は、早朝市場へ行き、自ら魚を選ぶところからその日の仕事が始まるとも言われています。
同じように、昔の大工さんは家を建てるとき、山へ行き木を見に行ったそうです。強度がある根に近い曲がった部分は大きな梁に使うなど、その木に合わせて家を作っていました。
モノづくりの始まりからから終わりまで、すべての工程に責任をもち見届けるという日本の伝統は、フィンランドに負けず素晴らしい。夢木香も伝統を忘れず常に進化する一流のログハウスメーカーでありたい。今回のフィンランド視察で得たことは、夢木香でログハウスを建ててくださる方だけでなく、この業界全体にプラスになるよう働きかけていきたいと思います。