設計谷本です。先日家づくりの勉強会で静岡の登呂遺跡に行ってきました。
登呂遺跡では竪穴式住居と高床式倉庫の跡地と復元された建物・水田が見られます。
竪穴式住居は床下に掘り下げて住居があり、入口は1箇所窓のない建物です。
入口は風向きを考えて作られていて、全部の家の開口は同じ方向を向いています。
そちらがわに水田を設けて気化熱により少し冷えた空気が室内に入る仕組みです。
実際に現地に行くと博物館付近より、遺跡の場所のほうが涼しく感じるので体感してみるのが一番でした。
屋根から空気が抜けるような造りになっているので、空気が留まることはなく風が流れていきます。
当時は木材を角材にするのも斧だったので自然に手斧仕上げに。
ティンバーフレームなどでも用いられるのでログ屋としては親近感を感じずにはいられません。
地盤面より床(?)が下がっているので、周囲は木の矢板で桶のような造りに。
木が水を吸って湿っているのがわかるでしょうか?これは地面から湿気が上がっているのではなく
地中熱で外気より涼しい室内に水田を抜けた風がはいってくる為に起こる結露現象です。
湿気は地面から来るのでは?と思いがちですが、水田から外れた位置にある竪穴式住居の内部はからからに乾いていました。
この場合は、風が抜ければ抜けるほど室内が湿るという現象になります。
そのため、当時の人々は夏でも中央の囲炉裏で火を炊いて、除湿をしていたそう。よく考えられていますよね。
食材の保存は高床式倉庫に。皆で共通の倉庫ではなく、1軒に1倉庫とのこと。
収納が別棟というのもある意味贅沢ですが、用途に合わせて違う構造にするという発想が面白いです。
柱には鼠返し、倉庫の壁は板倉風でログハウスにとも言えるような組み方でした。
こちらは高床式倉庫っぽいですが神殿です。
祭事に使われていたとのことで伊勢神宮にもついている鰹木のようなものが妻壁(三角側)の上部についています。
弥生時代の住宅としての竪穴式住居。家は雨風を防いで、家族を守るものというのを改めて感じました。
時代を経て進化して、まずは床が出来て、半分土間だったりの時代を経て今の日本の住宅が出来ているんだなと感じます。
現代では、もっと付加価値をつけてただ家族を守るだけではなくより快適に暮らせる建物になっていますね。
地中熱利用と換気ではエアーヒルも(とても)お勧めですが、
機会があれば文明の利器に頼らないパッシブ全開な建物の設計もしてみたくなりました。
一緒に建物の勉強をしている方々と楽しく実地研修でしたので、久しぶりに学生時代のような新鮮な気持ちに。
もっと知りたい方は下記写真よりどうぞ~「静岡市立登呂博物館」のHPへのリンクになっています。
帰りには静岡市で建築中のS様邸の現場に寄りました。
結構お近くでしたので、見学会と一緒に行くのも良いです。
(構造見学会は終了していますが、個別で営業さんにご相談ください。)